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経皮的シャント拡張術(VAIVT)

当院の実績

VAIVT
2023年末までに2,198の手術を行っています。
 
個人差はありますが、多くの方が1泊2日で退院されています。(2023年)

大切なシャントを長く使っていくために

VAIVT(Vasucular Access Interventional Therapy)とはバスキュラーアクセス(VA)へ経皮的に病変(狭窄・閉塞)へアプローチするインターベンション治療で以前はシャントPTAと呼ばれていました。

VAは血液透析患者が透析治療を受け続けるために必要不可欠なものであり、そのため「血液透析患者の命綱」とも言われています。

VAが狭窄すると、十分な血流が取れず、透析効率が落ちます。さらに狭窄を放置しておくと完全に閉塞する危険があり、シャントを作り直す場合もあります。

長期間使用するためには、閉塞や狭窄の早期発見と治療が有効で、VAIVTが治療の第一選択となります。
VAIVTは、短時間に治療ができるため、シャントの作り直しに比べ身体面の負担が少ない手術です。

経皮的シャント拡張術(VAIVT)
経皮的シャント拡張術(VAIVT)

当院では、エコー下でVAIVTを行っています。

当初は造影剤を使って透視下で行っていましたが、造影剤に副作用がある事、患者さんと術者の両者の放射線被ばくが避けられないという問題がありました。そこで放射線被ばくが回避でき、造影剤を使わなくて済むエコー下VAIVTを導入しました。

透視下に比べて血管の形を把握することが簡単で、血管内外の組織をリアルタイムに確認することができるようになりました。
造影剤が通過しないような閉塞・血流量の少ない血管にも対応でき、安全性・有用性がともに高く、現在は全例をエコー下でおこなっています。

また、VAを機能的・形態的に評価できるシャントエコー検査を積極的に行い、VAIVTの適応やフォローアップなど、きめ細かいVA管理をおこなっています。
シャントエコー検査

VAIVTのメリットはなんですか?

・治療時間が短い(30分から1時間程度)
・一泊入院で行なえる(翌日に臨時透析を行い退院)
・安全性が高い
・身体的負担が少ない

VAIVTはどのような手術ですか?

VAの一部にシースという針を刺します。血管内にバルーンカテーテル(先に風船が付いている)を挿入し、閉塞、狭窄した箇所でバルーンを拡張させます。バルーンの圧力で内側から血管を広げる方法です。
手術の際は、エコーで位置を確認しながら行ないます。
シャント
バルーンカテーテル
バルーン

使用デバイスの紹介

ステントグラフト
 ステントグラフト
2021年6月からステントグラフトの使用を開始しました。
ステントグラフトとは、バネ状の金属を取り付けた人工血管です。金属のバネ力と患者さんご自身の血液の圧力によって拡張します。
人工血管内シャント(AVG)の静脈吻合部の狭窄・閉塞部に内挿入(血管の内側に留置)することで、血管の長期開存が期待できます。

人工血管移植をされている方は自己静脈が乏しく、静脈吻合部の狭窄をきたしやすいため、その度にVAIVT手術を行う必要がありました。しかし、このステントグラフトを使用することで、血管の長期開存、治療回数の低減が期待されます。

ステントグラフト使用には、適正使用指針が定められており「施設体制・術者」の基準を満たした限られた施設でのみ使用可能です。亀井病院はこの指針を満たしています。
(※対象となる患者さまは症状などにより異なります)


 薬剤コーティングバルーン
2022年4月から薬剤コーティングバルーンの使用を開始しました。
薬剤コーティングバルーンの表面には、薬剤(パクリタキセル)が塗布されています。
狭窄をきたした血管壁部分でバルーンを広げ、表面の薬剤を浸透させることで再狭窄の抑制効果を得ることが期待できます。

薬剤コーティングバルーンの使用には、適正使用指針が定められており、「施設体制・術者」の基準を満たした限られた施設でのみ使用可能です。亀井病院はこの指針を満たしています。 
(※対象となる患者さまは症状などにより異なります)

薬剤コーティングバルーン

痛みはありますか?

穿刺時とバルーン拡張時に痛みを伴いますが、個人差があります。
その都度、痛みに応じたコントロールを行なっています。

一度すると大丈夫ですか?

同じ箇所が再狭窄する確率が高いといえます。再狭窄までの期間は個人差があります。しかし、技術の進歩による新しいカテーテルの開発や、拡張手技により、開存期間の延長が期待されます。

どのように閉塞や狭窄を発見するのですか?

狭窄の可能性がある場合
・スリルや拍動の減弱・消失
・脱血不良
・シャント音の聴取範囲の狭小化
・高調性雑音の聴取
・クリアランスギャップの上昇
・表在からのシャント血管の陥没
 
血栓の可能性がある場合
・シャント肢の上肢腫張
・脱血不良
・突然の血管痛や発赤
・穿刺後の血管痛
 
穿刺部より上に狭窄が考えられる場合
・シャント肢の上肢腫張
・静脈圧上昇

シャント手術までの流れ

医師、スタッフは、患者様のVAの状態を臨床症状や透析データなどのVA機能のモニタリングからシャントエコーによる機能的、形態的評価を行い、VAトラブルを早期発見し、より長く使えるように努めています。
シャント手術までの流れ

入院スケジュール

 入院前
 外来診療の際に、手術の説明や同意書の説明・確認をおこないます。
現在飲んでいるお薬で入院中に中止するものの確認をおこないます。
 入院、術前オリエンテーションをおこないます。(病棟案内、入院生活について、病気について、内服中の薬の確認)(手術前後の予定や入院準備について)
 食事は手術の3時間前までにお済ませください。
 手術が午後からの場合、朝食後の内服薬は服用してください。
 手術前
入院の際には、内服薬を全て持参してください。
入院診療計画書の説明や確認をおこないます。
入院後は絶飲食です。
術衣に着替え、入れ歯、金属類をはずします。
 手術後
しばらく圧迫止血します。
術後1~3時間は安静にしてください。
 出血の可能性があるので、激しい運動はしないでください。
手術部位の圧迫を避けてください。(腕時計・腕枕をしない、血圧を測らない)
手術した腕で荷物を持たないでください。
 自分でシャント部位に軽く触れて拍動を確認しましょう。
手指の開閉をおこない、血管を鍛えましょう。
適宜、看護師が状態を観察しますが、それ以外でも痛みがある時は我慢せず看護師までお声をお掛けください。
夕方から食事が可能となります。
手術終了後、術中所見および術後の留意点などについて、主治医から説明があります。
 翌日
 個人差はありますが、手術翌日には退院していただけます。
安静の制限はなく、食事も通常通りしていただけます。
服薬説明など退院オリエンテーションをおこないます。
医療法人尽心会 亀井病院
〒770-8070
徳島県徳島市八万町寺山231
TEL.088-668-1177
FAX.088-668-1122
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